現代社会への考察2

現代社会への考察 - ■[ideate]idegで示した現代社会に停留する問題を解決するための、今後の個人と社会の在り方を考察する。個人の社会に対する存在意義と、社会全体の方向性の在り方への考察である。そこでは個人の在り方を以下のように記した。

今後は社会から役割を得ることは難しいため自らの社会へ参加する意義を各人が規定すべきだと考える。自らが物語を規定し、それを自覚したうえで物語に同化するのである。

日本人、日本社会ではこの個人の在り方は難しいと思われる。自らの存在意義と社会に対する自己規定を持つ自我の強さと、それらを思考する社会文化が形成されていないこと。そして、個人は他者承認欲求を社会から満たされることによって、自己存在の意義を感じとる傾向が強いからである。

同じく、社会の在り方として次のように提案した。今回はこの提案の具体的な考察である。

若しくは社会システムに新たな規律をもたらすべく、社会システム全体の理念や思想と目指すべき方向性を掲げることだ。社会システムに属する各構成員の心理的ベクトルが揃いやすくなり、各心理的ベクトルの集積が社会システム全体の大きな力を生み出し、構成員同士の心理的ベクトルの相殺というシステム内のロスを防ぐことが見込まれる。

ここで、「日本論」考察 - ■[ideate]idegで述べたような、社会の大義という「話の件」を新たに掲げるという、社会の在り方を提唱したい。社会システムの発展に貢献する活動に対して、ポジティブなストロークを社会がアナウンスし続けるのである。
社会システムが掲げる価値観に沿った個人の活動に対して、社会統治機構や、メディア、社会構成員同志が次々に「素晴らしい」と声をかけ続ける。これは社会システムへの所属意識と社会問題に対する当事者意識から発生するムーブメントである。

  • 学生や一般のボランティア活動
  • あらゆる理由から社会復帰を果たした人
  • NPO等の社会に貢献する活動
  • 日々の生活を頑張っている人々
  • 変化をもたらすアイデアを考え出した人
  • 効率の良い手法をもたらした人
  • 新たな企業を立ち上げ成功した人
  • つらい職場で働く人々
  • 海外で健闘する企業
  • 社会インフラを支える企業
  • 新たな技術で市場を開拓した企業
  • あらゆる個人の成長
  • ・・・

このように細かな活動まで、クローズアップしどんどん「素晴らしい」と賞賛し続けるのである。社会の周辺に社会の大義を掲げ、それに個人が同化することによって、自らの社会に対する存在意義を感じ、自己承認欲求、他者承認欲求を充足させることができる。

このストロークよって、社会構成員を自己愛を満たすための低俗な価値観への耽溺から引き上げ、高次の社会に有用な活動へと導き、社会全体の活力と大義への推進力が見込まれる。しかしながら、社会の大義についてのブラッシュアップは継続して行うべきである。

どの活動に対してストロークを与えるのかは、社会全体の効率や有益性に基づくものであり、その社会が重要とする価値観である。他人から詐取して金銭を儲ける活動を賞賛しないなど。その継続が社会文化のコンテキストとなり、社会システムのアイデンティティとなる。

一つ重要なことは、社会の価値観に沿う努力をし失敗した場合にも、その者に「ドンマイ」と声をかけ続けることである。落伍者としてラベルを張り、切り捨てるようなことはしてはいけない。失敗をも許容し、新たなチャレンジへの声援を送り続けるのである。

このようにわっしょいわっしょいと社会全体で相互にストロークしながら価値のある活動を促進させ、社会全体の効率と増益を図るのである。ストローク活動はコストはあまりかからず、インターネットという媒体を利用してすぐにでも行えるはずである。

社会の価値観に沿わず、反発する者も出てくるであろう。しかし社会の価値観が効率的で有用なものならば、その反発する態度がナンセンスだと理解するか、その人自身が社会参加への自覚を持っていないことに気づかされることになる。

本来ならここで推し進めて、社会構造のグランドデザインを再構築し直してほしいと望むところである。しかしおそらく日本人は、コンピュータオペレーティングシステムを構築する企業文化を持ち合わせていないように、日本独自の数学「和算」が体系的に発展し他の学問の礎にはならなかったように、社会システムの「構造」を構築する能力を持ち合わせていないように推測する。
明らかに、論理的思考を持ってすれば、効率化された手法の解を求められるはずである。それを議論のテーブルにあげ、決定し、システムに導入することができない社会体質や障壁の原因を見抜くべきである。

日本においては、社会システムの再構築を望まず、社会の大義という「話の件」を数多く掲げ、それを束ねたものを社会システムの骨格とする在り方が功を奏すると推測する。だが、現社会システムを再定義し、効率的に改変する作業は必須である。