お金を廃した社会システム考察

前提
ほとんどの人は、肉体的満足への活動か、自己の存在意義を映し出してくれる鏡を外界に求める活動を、日々繰り返しているだけにすぎない。
お金はコミュニケーションツールであるため、人々の分離を生み出す。労働の対価であるため、パワーを生み出す。物・サービスの対価であるため、人々の欲望を生み出す。
我々は人類の欲望の奴隷としてストレスを溜めながら労働している。


仮説1 人々が自己の存在を映す鏡を求める活動をやめれば、お金という自己の外部に存在する価値はなくなる。
仮説2 人々は自らが所属し共有する社会システムを維持運営するために、自主的に働く。
仮説3 社会システムの運営にあたり、社会問題がインターネット上で系統だって議論され、その対処方法が決定される。
仮説4 社会問題の対処方法に従って、自主的に参加した人々によって組織される無数のワーキンググループがその問題の解決に当たる。かつての仕事といわれたものの代替活動である。
仮説5 基本的に競争がないため、必要以上の生産活動は行わず、過剰なエネルギー消費も行われない。
仮説6 問題解決のためのワーキングループが、不足している人員をインターネット上で募集し、各人はそれに応募する。
仮説7 社会システムのよりよい運用が各人の最終目的となり、技術研究開発、学習行動のすべてが、各人の目的遂行のモチベーションとなる。
仮説8 かつて商店と言われたところにかつて商品と言われたものが並べられ、無償でそれらを得ることができる。もしくは、個別にインターネット上で必要なものを注文する。
仮説9 生産の需要は系統だった議論から発生し、生産活動はインターネット上でその必要量を管理される。
仮説10 自己の存在を映す鏡を求める活動をやめることによって、必要以上の物的要求はなくなり、過剰な消費活動は行われなくなる。
仮説11 インターネットがコミュニケーションツールとなり、労働を公共への奉仕活動へ転換し、人々の欲望を消し去ることができれば、お金の価値をなくすことができる。
仮説12 お金を排した自ら所属する社会と以前の社会システムを維持している国との交易にのみ従来のお金が使われ、社会全体での収支の計算しか行われない。


総論
人々の意識化を推し進めることにより、自我のこだわり、性癖、アディクション、偏見、非科学的論説への盲信、依存、偶像崇拝、自己愛の肥大化、心の障壁、恐れ、恐れが生じる仕組みが解消され、自己を映す鏡を外界に求める行為はなくなると確信する。
現在の心理学的科学的根拠を重ねていけば、社会の精神構造を意識化するメッセージを社会構成員に一様に浸透させる手法を確立できるはずである。
それが実現すれば、中世から近世への意識の高揚に匹敵するほどの人類の意識変革が起き、人類文明の劇的な変化が起こると予測する。
なぜ意識化を行わないのか。人々の目覚めが起きてしまうと商売が成り立たなくなるからである。(その他権力に関する問題は再考。権力が悪いわけではない。)もっと本質的には、上記の「自我の抱える問題」を「自分である」と自我が錯覚しているため、それらを手放すことで起こる「自分が消滅してしまう恐怖」を自我は恐れ、意識化による目覚めを無意識に拒否するからである。