領土の侵略への考察

領土の侵略は帰属する社会の自我の拡大と発達ゆえに必然的に生じた。人類の脳の発達と自我の成長に伴い、外界を認識する能力は拡大し、自我は外界に対するより深く広い認識による征服を欲した。
その欲求は倫理性を考慮する以前の、自我の自然発生的な「機能」であった。自然界の摂理を離れた、個人もしくは社会的自我が構築した物語の文脈に沿った思考パターンと情動を、人間の自我は選択する。その選択は非合理的で非倫理的な場合もある。
人間の行動は、生理、感情、情動、欲望、思考、偏見に基づいて選択される。人間の自我は、社会の物語に沿った思考パターンを無自覚に選択し、社会の枠組みによって容易に制限を受ける。人類の倫理性は、歴史上の数多の後悔の末に獲得したものである。
個人の自我は巨大な社会の枠組みの中では些細な色の違いでしかなく、社会の枠組みと物語の内容によって容易に影響を受けるほど弱小なものである。社会構成員の自我の成長度と意識化が不足している場合、無意識で催眠状態に近い集団心理に巻き込まれる。
ある社会において、人種の優勢による肉体的知的能力の差と、その社会が構築した物語の自我における効率性の違い、社会が定住した土地の肥沃度や利便性、優位性の違いが、その社会の発展性と文明の進化度の決定要因となった。
日本は日本の温暖湿潤気候の環境に助けられ守られてきた歴史をもっと自覚し感謝すべきである。島国で資源のない国であったことは特異性を生み出す要因である。